artkoubo MAGAZINE
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[File91] 現代童画会
「新しいナイーブアートの創造と発展」を希求し続け、若手絵本作家・イラストレーターの登竜門として定着。

2024/12/05
「新しいナイーブアートの創造と発展」を希求する画家、絵本作家、イラストレーター、デザイナーなどによって1975年(昭和50年)に結成された現代童画会。「自由なる心の表現」を標榜し、素朴、純粋性を基軸に公募、展覧会を開催し続けている。活動の節目ともなる「第50回記念 現代童画展」(2024年11月10日~16日)の会場で、糸井邦夫副会長に話を伺った。

糸井邦夫 副会長

―50回という大きな節目にあたり、過去の受賞作を含む多くの作品が展示されていました。
  •  5年ごとに記念展を開催していますが、50回は特に大きな節目となります。「第50回記念委員賞」「第50回記念賞」受賞作をはじめ、歴代の大賞作品、50回継続して出品し続けている会員の作品も併せて展示し、総数は499点でした。過去を振り返り、未来に前進するというメッセージを込めた企画です。今回は招待作家のなかでも三田村有純先生による漆芸作品を展示させていただいたこともあり、全体に迫力のある空間となりました。
  •  記念賞の受賞者には副賞として小澤清人会長のリトグラフを差し上げたほか、記念誌として「現代童画会50年の歩み」を制作しました。半世紀にわたる展示会のあゆみ、常任委員のメッセージや委員のインタビューをまとめ、会員の皆さんにお配りしました。
―改めて、貴会の理念や活動の内容をお聞かせください。
  •  現代童画会はその本源が童心(ナイーブな心)にあると考え、現代絵画がともすれば忘れがちな絵画の純粋さ、素朴さ、詩情などを改めて追求し、さらに外に自由に広がる新たな表現を目指します。
  •  東京都美術館で開催する現代童画展(公募展)のほか、春季展、選抜展、地方巡回展、各支部地区展などを通して現代童画(新しいナイーブアート)の普及、発展に努めています。
  •  現代童画会が考える童画は「子どもが描いた絵」でも「大人が子どものために描いた絵」でもなく、「大人が童のような純粋な気持ちで真摯に描いた絵画」として捉えています。公募展は「描きたい世界を描きたいように自由に表現しているか」を問うもので、テーマは自由です。高校生以上なら、どなたでも応募することができます。
  •  会員には画家やイラストレーターなどのプロが多く、小澤会長をはじめ、クリヨウジさん、北見隆さん、有賀忍さん、中村景児さんなど、多くの会員が人気作家として活躍中です。
―完成度の高い大作が非常に多く驚きました。現代童画展の近年の傾向はいかがでしょうか。
  •  絵本など出版物の仕事では大きな作品を描くことがないので、こうした展覧会で大作に挑戦することで、さまざまな気づきがあるでしょう。大作が一つでもあれば、それをメインとして個展を開催することもできます。
  •  プロばかりでなく、純粋に絵を描くことが好きな一般の方の応募も増えています。自分が好きなものをマンガやアニメなどで自由に表現する若い方が増えたことで、時代に合った展覧会になってきているのではないでしょうか。基本的な技術や完成度も大切ではありますが、現代童画展の審査においてはあくまでも熱量が高いかどうか、一枚の絵として力があるかどうかを重視しています。
  •  油彩・水杉・版画といった部門がないこともあり、技法は多様化しています。全体的にはアクリルが多めですが、ザラついた質感などマチエールが日本画的なものが増えていて、面白い展覧会となっています。
―展覧会から仕事につながることも多いのでしょうか。
  •  出版関係者が展示を見にくることも多いので、特にイラストの仕事をしている人にはPRの場ともなっているようです。出品者は懇親会(会費制)に参加することもでき、そちらにも出版関係者が来るので交流する機会もあります。今回も150人以上と、多くの参加がありました。
  •  作家性が評価されて現代童画会の会員になると、会主催の各種展示(春季展、選抜展など)に参加でき、作品発表の場が提供されます。受賞すればメンバー同士で講評し合ったり、情報交換をしたりして切磋琢磨することができます。仮にすぐ仕事につながらなかったとしても、多くのメリットがあるので、ぜひ会員を目指して頑張っていただきたいです。
―会友・一般からの応募も多く、これから応募したい人のためのセミナーも開かれていますね。
  •  若い人にとって現代童画展は他の美術展よりもハードルが低く感じられるようで、若い人の出品が多い傾向にあります。人気会員のファンがSNSを通じて入会を希望してこられるなど、ネットを通じて認知されるようにもなってきました。
  •  東京近郊在住の出品・応募者を対象に、セミナー(作品勉強会や画材研究会など)を開催しています。詳しくは当会のホームページをご覧ください。
  •  これからプロとして活動を始める方々も、仕事で絵を描くばかりでなく、いまを生きる自分を純粋に表現するための場として現代童画展を活用していただければ幸いです。
(文・構成=中山薫)
第50回現代童画⼤賞 川村美佳⼦「薫り⽴つcerulean field」
第50回現代童画⼤賞 川村美佳子「薫り⽴つtiny flowers」
第50回記念委員賞 尾曽律葉「宇宙へ届け〜♬(I)(II)(III)」
会員作家賞 たかむらゆき「冴ゆる⽉」
ねづまちるくね「鵠の歌に棹さして」
⽂部科学⼤⾂賞 近藤愛「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」
東京都知事賞 ⻑⽥英⼦「こどもパラドーくじゃくのダンス」
弥⽣美術館館⻑賞 坂崎友⾥乃「⽉下舞踊」
綾宏賞 中村 あつこ「昼下がりⅢ」
出版美術会員賞 さとうあかねこ「おやすみこもりうた」
第50回会員佳作賞 和泉景⼦「オルタヒサルの⾵」
会員佳作賞 井関周「Brahaman・創造の光と闇」
会員佳作賞 永⼭祐佳「記憶標本」
会員佳作賞 はやしすみこ「⺟胎樹」
第50回記念会友賞 Rȍmell「ファンファーレーレ(Fan Fare)」
第50回記念賞 ⼭⽥幸太郎「麒麟-想いⅠ」
⼩澤清⼈「スペイン椅⼦のゴーディエ」
⽷井邦夫「争い」
佐藤美絵「天地廻游」
会場をご案内いただいた 委員 佐藤美絵先⽣
歴代の受賞作品も展⽰
 
 
50回記念会場
 
50周年のロゴ
公募情報
 現代童画会
  • 第50回記念現代童画展 ※終了致しました。
  • 会期
  • 2024年11⽉10⽇(⽇)〜16⽇(⼟)
  • 会場
  • 東京都美術館(東京上野公園内)
  • 搬⼊⽇時
  • 2024年10⽉24⽇(⽊)〜 2024年10⽉25⽇(⾦)
  • 搬⼊場所
  • 東京都美術館裏側の搬⼊⼝から⼊り(裏⼝側)
  • 地下3階 B3現代童画展受付
  • 作品の種類
  • 油絵・⽇本画・⽔彩・アクリル・版画・貼り絵・切り絵・染色画・CGなど表現・画材を問わない。未発表の平⾯作品に限る。
  • 作品サイズ
  • 縦1620×横1620mm(S100号)まで。
  • 出品料
  • 3点まで10,000円、以降1点ごとに2,000円追加。
  • 出品資格
  • 16歳以上・男⼥・職業・国籍を問わない
今後の予定
  • 春季展
  • 2025/3/31-4/6 銀座アートホール 110名位の参加8号の作品
  • 受賞作家展
  • 2025/4/28-5/4 銀座アートホール 42名の受賞者で20号の作品

第43回展のポスター

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団体問合せ
  • 現代童画会事務局
  • 〒113-0033 東京都⽂京区 本郷4-5-10-402 ライオンズマンション本郷
  • 03-3816-5281
  • https://gendoh.jp/
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