[File23] 秀彩会
描き始めたばかりの人も、気軽に参加できる場に

2016/9/16 ※更新2022/7/20
(左)山下 恵美子 《姉妹》 第8回秀彩会 人物画の部 受賞作
(中)竹田 知代 《シンボルツリー》 第8回秀彩会 自由画の部 受賞作
(右)渡辺 史郎《葉陰》 第8回秀彩会 小作品の部 受賞作
   画像は第8回秀彩会受賞作品より
設立してまだ10年足らずと若い公募団体ながら、毎年参加者を増やし、東京都美術館で展覧会を開催している秀彩会。銀座の画廊で開かれる会の「小品展」会場で、代表の溝渕泰史にその人気の秘密を聞いた。
話を聞いた代表の溝渕泰史
たくさんの人に賞をあげたい
小品展の会場は、まるでサロンのように出展者でにぎわい、会話の花が咲いている。一人一人に挨拶し、お茶菓子を勧めながら朗らかに話す代表の溝渕の様子から、秀彩会が活況の理由の一つは、本人の人柄によるところが大きいのだろうとみてとれた。
長く所属していた人物画を募る公募団体から独立して、自ら代表となって立ち上げた秀彩会は、今年9年目を迎える。会の特徴は、ジャンルの分け隔てなく、参加者に楽しく描いてもらうこと。部門の設定がまさに象徴的だ。
「人物画」「自由画」「小作品」。溝渕が手掛けるのは人物を描く画だが、会としてはそのジャンルにこだわらない。さまざまな技法やモチーフを受け入れる、間口の広い「自由画」部門への出品は、全体の5割程にもなっているという。公募団体では珍しい「小作品」部門は、まだ大作を描き慣れない人が応募するのにぴったりの受け皿だ。
賞は秀彩会大賞、秀彩会賞、優秀賞などがあるが、全応募作から選ぶのではなく、部門ごとに賞を決める。だから、受賞作の数が多くなる。
「上手な作品には、本当は全部賞をあげたいんです。ひとつの部門ごとに、20の賞を設定しています。それでも『いいな』と思う作品が賞にもれてしまいそうになると、僕の方で急きょ、新しく賞をつくったりしてね。(笑)」
賞による権威づけという発想とは異なり、会を活性化するための一つの方法論であるようだ。
「受賞した方は授賞式を兼ねた懇親会にお招きします。すると、会場に70人もの人が集まることに。絵を描くという共通の趣味を持つ人たちがそれだけ集まり、歓談し、親しくなれる場をつくれることも、公募団体の意義だと感じています。」
第8回秀彩展 会場の様子(2015年開催)
(左)溝渕泰史《ベリーダンサー》人物画
(右)徳山洋子《Nさんの肖像》人物画
(左)成瀬敏江《風が小鳥になるの》人物画
(右)藤井健治《青の幻想》人物画
(左)山口清《斜里岳》自由画
(右)安藤博幸《パリの街角》自由画
(左)高橋武雄《丸の内広場の眺望》自由画
(右)木匠洵子《暁》自由画
(左)アングル遠藤《ハーモニー》小作品画
(右)長沢郁子《築30年、手づくりの我が家》小作品画
(左)石川公子《木場》小作品画
(右)轟由起子《夏の終わりに》小作品画
絵画教室と掛け持ちで
溝渕は絵画教室も運営し、週に5日、水彩画を中心に教えている。
「人物画のクラスもあります。人は誰もが見慣れたモチーフなので、デッサンの狂いがすぐにわかるんです。だからこそ、絵を描く力をつけるなら、いつか人物画にも挑戦してもらえると嬉しいですね。」
教室での指導の多忙な日々のなか、新しい公募団体を立ち上げるのは大変なことだったはずだ。それでも、立ち上げ時には30人程度だった会員が、現在は150人を超えるというから、公募団体は順調に成長しているといえるだろう。そして、ふだん絵画教室で教えていることが、絵を楽しみたいたくさんの人の気持ちをくみ取る団体の運用方針にも活かされているのではないだろうか。
「敷居の低い、ふつうの人が気軽に出品できる公募展にしたいと考えています。会費もとても安く設定しています。秀彩会では1人5点まで、いろんな部門に分けて応募することができます。場合によっては、5作とも賞をもらえるかもしれない。それは何より励みになるし、真面目にコツコツ描く人がちゃんと評価される場所は、必要とされていると思うのです。」
(取材・構成=竹見洋一郎)
第8回秀彩会小品展の会場の様子(2016年)
公募情報
秀彩会
第9回 秀彩展 ※終了致しました。
  • 日程:2016年11月16日(水)~11月24日(木)
  • 会場:東京都美術館
  • 搬入日時:11月9日(水)
  • 作品:人物画、自由画、小作品
  • 出品料:2点まで8,000円(1点増す毎に1000円)
第9回 秀彩展ポスター
団体問合せ
秀彩会事務局
mizoyasu@tcp-ip.or.jp
http://www.mizoyasu.jp/newpage4.html


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