第1回展の最終審査の様子
2015年に世界の才能あるアーティストの発掘を目指して開催された国際公募アートオリンピア。52か国からの4186作品の応募という成功を経て、今年(2017年)、第2回展が開催される。実行委員長であり、人間国宝美術館の創設にも係わった起業家の山口伸廣に話を聞いた。
国際規模の公募展が誕生
- 世界中から絵画作品を募集し、世界の美術関係者が審査を行なう公募展、「アートオリンピア」。2015年に開かれた第1回展に続き、ビエンナーレとして2017年の開催が決まった。
- 第2回展の国内審査員として名前を連ねるのは、千住博、建畠晢、岡部あおみ、保科豊巳、遠藤彰子といったアーティストや評論家の大御所たち。さらに海外審査員として、ドローイングセンター所長のブレット・リットマン、ガゴシアンギャラリーディレクターのキャラ・ヴァンダー・ウェグらの顔ぶれが並ぶ。国内外から集められた作品は、これら日本、アメリカ、フランスなどから集う多国籍の審査員によって最終審査を受けることになる。表彰作品は約180作品、金賞はなんと1200万円の賞金(US$120,000相当)という。「芸術のオリンピック」と呼ぶにふさわしい、堂々たる規模の公募展だ。
- 「私自身、陶芸作品を公募展に応募していた経験があるのですが、落選が続いたりと、あまりいい思い出はありませんでした」と実行委員長の山口伸廣は語る。「それで自分が公募展をはじめるにあたって、まず考えたのはアーティストの目線に立った公募展にしたいということ。そして、他にない新しいシステムをつくること。数多ある公募展の世界に参入するわけですから、埋もれてしまわないためにも何かに特化していないといけません。目を引く賞金額や審査員の顔ぶれは、そのために不可欠でした」
- アーティストの卵にとって、国内だけでなく、海外の美術関係者に作品を見てもらうことができれば、これまでにない躍進のきっかけになる可能性もある。さらに特筆するべきは、当落の結果だけではなく、一次審査の順位を通知する独自のシステムだろう。
昨年の展覧会の様子
実行委員長の山口伸廣
自分のランキングがわかる
- アートオリンピアの国内応募作では、一次審査通過作品の1作品につき100点が審査員に与えられ、すべての作品に厳密な点数がつけられる。その点数と順位が、応募者に伝えられるのだ。
- 「審査は真剣勝負です。点数をお伝えすることは、全ての作品を真摯に見ている、という私たちの姿勢を示すためでもあります。そして応募する皆さんには、順位を知ることで、次の応募ではもっと上を目指すぞ、というモチベーションになればと期待しています」
- 残念ながら第1回展で入選できなかった人も、今回続けて応募することで、自分の成長の度合いを具体的に知ることができる。錚々たる審査員たちが自分の成長を見守ってくれている、と捉えることもできるだろう。
- 現在のところ応募は絵画作品を中心にしているが、写真など、少しずつ対象ジャンルの幅を拡げつつある。
- 「写真を審査するには、それを観る力のある審査員が必要です。審査員のひとりである千住博さんは『公募展は出品者ではなく、審査員の力量が試されている』とおっしゃっていましたが、回を重ねるにつれて、主催する私たちの側も成長していく公募展として、長く見守っていただきたいですね」
- 第1回展の最終審査の様子は、YouTubeでも公開されている。注目度の高いこの大舞台で、力を試してみるのはどうだろう。
- YouTubeリンク (https://www.youtube.com/watch?v=8OKFfrZfAVk )
- 一般部門1位
- 田中 正(日本) 《おかえりなさい》
- 一般部門2位
- Antonio Faria(ポルトガル) 《red foreast》
- 学生部門1位/一般部門3位
- 吳 雨軒[Yuxuan Wu](台湾) 《Cypher of Pixie》
- 学生部門2位
- mimasho-(日本) 《ハードボイルド探偵》
- 学生部門3位
- 吉田 晋之介(日本) 《マザーボード》
(取材・構成=竹見洋一郎)
当サイトに掲載されている個々の情報(文字、写真、イラスト等)は編集著作権物として著作権の対象となっています。無断で複製・転載することは、法律で禁止されております。