[File9] FACE展
グランプリ作は館の所蔵作品に。美術館主催の公募展

2015/5/20 ※更新2022/6/15
「FACE2015」の展示の様子。東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館ではFACE展のほか、特別展、企画展を年5回ほど開催。
美術館は新宿の超高層ビルの42階にあり、展望回廊からの眺望も魅力だ。
FACE展(損保ジャパン日本興亜美術賞展)は、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館と読売新聞社が主催する公募コンクールだ。さかのぼること40年ほど前に損保ジャパン日本興亜美術財団がはじめた作家支援活動が、現在のFACE展のスタイルに結実したのは2012年度から。FACE展の誕生にいたる経緯と賞に込めた思いを、美術館の担当者に聞いた。
「公益性」を突き詰めた公募のシステム
損保ジャパン日本興亜美術財団では、1977年より「財団奨励賞」を創設して展覧会を開催してきました。
それまでは美術団体を選んで、38の団体の公募展に10万円の賞金を提供する形式でした。しかし社会状況が刻々とかわり、若い世代を中心に美術団体に属さず活動する作家も多くなってきました。また、2010年に当財団が公益財団法人化するにあたって、より広い公益性の追求が必要となってきました。そうすると、500程もあるといわれる美術団体に対して、38団体はあまりにも限定的ではないのかという内省もあり、より開かれた形の公募コンクールとして仕切り直しをすることになったのです。それが「FACE展」で、2016年で4回目の展覧会を迎えます。
公募コンクール形式に切り替えるときに重視したのは、年齢も所属も関係のない、公平な審査を行うことです。審査では作家の経歴は見ません。また、審査員が二人以上推さないと次に進めないシステムになっているので情実とも無縁です。ですから過去の審査では「この絵は若々しくていい!」と評価していた作品が、審査後にフタを開けたら60代の作家の手によるものだったということもありました(笑)。その方は、団体に入っておらず、美術大学に通ったこともない独学の人でした。
話を聞いた損保ジャパン日本興亜美術館の五十嵐卓学芸課長。
「FACE展2015」の展示の様子
作家のあゆみ、絵画のゆくえ
「FACE展」でもう一つ大切にしているのが、賞を差し上げた作家の将来を、美術館としてきちんと見ていきたいということです。
グランプリ作品は当館で所蔵することになっていますが、その作品は次回の「FACE展」の展示会場にも展示されます。
また、3年に一度、受賞作家展を開催することにしています。グランプリと優秀賞の3人を3年分、12人の展覧会となっています。この受賞作家展は「絵画のゆくえ」と題し、それぞれの作家の新作・近作を出して、受賞後のあゆみを見るものになっています。
2013年から始まった「FACE展」の最初の集大成となる「絵画のゆくえ」は2016年1月9日から2月14日の会期で開催されます。過去の受賞作家たちがどんな作品を発表してくれるのか、私個人もとても楽しみです。
FACE2015 グランプリ
宮里紘規《WALL》ミクストメディア
FACE2013 優秀賞
田中千智《未知の森》油彩、アクリル、キャンヴァス
世界に通用する作家の誕生を願って
「FACE展」が目指すのは、真に力があり、国際性がある作家の誕生です。
美術団体のなかで会友から会員へと階段を上がっていった作家であっても、いざ海外に持って行ったときに評価されるのだろうか、もっといえば買ってもらえるのだろうか、という点では疑問が残ります。でも「FACE展」の受賞作品は世界で評価される作家になってほしいと思います。私たちが審査で履歴書をみないのは、作品本位に向き合い、価値を見極めたいからです。美術団体が持つ、ともすると内輪のイメージを打ち破り、大きな可能性を秘めた作品と出あえる展覧会にしたいと希望としています。
「FACE展」の「フェイス」とは何なのか。ポスター等には「Frontier Artists Contest Exhibition」と英文表記があり、その頭文字が「FACE」となるのですが、実はこれは後付けなんです(笑)。「フェイス」作家の「顔」であり、「時代に対峙する」という英語の意味も込めています。
力ある作家が、「FACE展」から羽ばたいてくれることを期待しています。
(取材・構成=竹見洋一郎)
(左)FACE2014 グランプリ 川島優《Toxic》炭、岩絵具、箔、麻紙
(右)FACE2015 優秀賞 和田和子《ガーデン(木洩れ日)》油彩、キャンヴァス
(左)FACE2015 優秀賞 大橋麻里子《La Foret》油彩、アクリル、色鉛筆、キャンヴァス
(右)FACE2015 優秀賞 村上早 《カフカ》銅板画
公募情報
FACE2016
※終了致しました。
  • 日程:2016年2月20日(土)~3月27日(日)
  • 会場:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(東京・西新宿)
  • 応募期間:2015年9月14日(月)~10月22日(木)
  • 作品:油彩、アクリル、岩絵具、水彩、版画、染色、写真、ミクスト
  • メディアなどの平面作品。出品時からさかのぼって1年以内に
  • 制作された作品で、公募展などで未発表の作品1点。壁かけ可
  • 能作品で、作品は200×170cm以内、厚さ10cm以内。
  • 厚さ10cm以内。重量は30Kg程度まで。
  • 出品料:一人1点、7,000円。
  • 賞:グランプリ(1名) 賞金300万円 ほか
FACE2016公募規定の表紙
ART公募内公募情報 http://www.artkoubo.jp/sompo-japan/
応募問合せ先
FACE2016事務局
ヤマトロジスティクス
0120-223-529
http://www.sjnk-museum.org/face

当サイトに掲載されている個々の情報(文字、写真、イラスト等)は編集著作権物として著作権の対象となっています。無断で複製・転載することは、法律で禁止されております。
ページトップへ
アート公募姉妹サイト<PR>