- 2023年に創立100年を迎えた春陽会は、昨年より、100周年記念企画として、特別展「春陽会次世代を担う作家たち」展(東京都美術館)、「春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ」展(東京ステーションギャラリー、栃木県立美術館、長野県立美術館、碧南市藤井達吉現代美術館)を開催してきた。これらに続く3つ目の特別展として、「春陽会第4世代の作家たち」展が開催される。
- 春陽会は、1922年に小杉未醒、木村荘八、中川一政、山本鼎、森田恒友、石井鶴三、岸田劉生らを中心として結成。萬鉄五郎、岡鹿之助、長谷川潔、駒井哲郎など、日本画壇に強力な影響力をもたらした作家を輩出してきた。
- 1960年代には、当時の高度経済成長期の中で、美術を取り巻く環境は大きく変化し、創立から約40年を経た春陽会も大きな世代交代を迎えることに。現在の春陽会の多彩な方向性を予感させる作家たちが集結し、アンフォルメルなど当時の“新しい美術”やいわゆる美術ブームの影響を受け入れながらも、むしろそれぞれの個性を追求することに力点をおいて、力強い活動を繰り広げていった。春陽会では、この1960~1970年代に同会に参画した作家を「第4世代」と位置づけ、今回の展覧会では、その足跡を辿りながら、業績を展観していく。
- 「第4世代」の代業的な作家は、入江観、今關鷲人、松島治基、横山了平、小林ドンゲ、齋藤カオル、丹阿弥丹波子など。安井賞展、昭和会展、国際形象展、日本版画協会などから高い評価を受け、数々の賞を受賞ながら、自らの地歩を築いていった作家たちの作品は、半世紀経った現在もその輝きは色あせることなく、日本画壇へ大きな影響を今も与え続けている。
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- 「春陽会誕生100年 それぞれの闘い 岸田劉生、中川一政から岡鹿之助へ」展では、創立会員から1950年代に活躍した第3世代までを展示したが、今回はそれに続く「第4世代」の作品が一堂に会する。両展覧会を通じて、戦前戦後の日本美術を俯瞰することができ、日本の近現代美術史を検証していく貴重な機会と言える。
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- 期間は12月5日から11日まで、東京都美術館にて開催される。
(取材・構成=村串沙夜子)
アイト・ヨハネス「AN DER SCHUTZH ÜTTE」
入江 観「トスカーナの樹」画像提供:小杉放菴記念日光美術館蔵
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